不況で内定取消という深刻な若者情勢がクローズアップされる最中であるが、街を歩くと初々しい真新しいスーツに身を包んだ新人さん、すなわち、社会人1年生たちににも多く出会う今日この頃でもある。
新人さんたちを見ると、初々しくて、新年度だなぁという新鮮な思いももたらしてくれることもあるが、そんないい感じなことだけではない。
どうしても若いっていうのはお気楽というのかね・・この不況の中でたまたま運良く会社組織に吊る下がれただけにも関わらず、いい気になって若さを謳歌している感じに見えてしまって、なんだかなぁという思いに至ることもしばしばだ。
そんないい気になっている新人さんたちにこの前出会ってしまった。
マクドナルドに入った時ね、初々しいスーツの4人組がいてね、男性3人、女性1人。まぁありがちな光景だが新人さんなのは明らか。時間帯は働き盛りのリーマンであればたぶん残業もあったりして帰れていないような時間帯に4人で群れられるのは、新人が新人扱いで仕事も十分にできないから帰ることが許されているこの時期ならではの光景だ。
でも、それだけならことさらここで語るまでもない。たとえば、4人がやっていたのが談笑とか新入社員ならではの会社のトークとかならわかるんだがね。
4人でやっていたのが、PSPなんだよね。ポータブルゲーム機。ほら今のポータブルゲーム機はネットワーク通信で共同して戦っているようで「あのモンスター倒して」とかなんとか言った言葉であった。
ここまでなら学生気分が抜けていないなというくらいで済むのだが、ひとりがこういう旨を言ったのが耳に入ったんだ。"このゲームをやっているとエンドレスだからこういうところで1~2時間に時間を区切るとリズムがとれていい、研究室にいたときにそう思った"という旨を。聞きかじりと記憶によるので多少の誤謬は許されたい。
これを聞いたとたん、なにをいい気なことをと思ってしまったんだ。
研究室という言葉が出てくるところを見ると、理系出身のエンジニアだろうか。それにしても、君たちが今の時間に帰れているのは、いまだ戦力にならないからであるわけで、マクドナルドで1時間も2時間もゲームをやっていられるのはそういうわけなのだから、そんなのを当たり前にしてはいけないと思ったものだ。そのうち、帰れなくなって大変な思いをするだろうしその真新しいスーツもくたびれてくるだろう。ゲームだってしたくったってできなくなるだろう。
彼らからすれば私だってその時間にマクドナルドにいるではないかという意見があるかもしれない。しかしながら、私はそういう時間を持つために人生を変えたわけだから、その視点からするとどうしても彼らのそのいい気に思える生き方がどうしても気になってしまうわけだ。
新人たちへの、くたびれた中年からのかすかなオブジェクションである。
不況における内定取消や就職戦線の厳しさがある今日この頃、うまく、会社組織に入れた新人はもうちょっと身を正してもいいのではないかと思ってしまうのである。