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落ち着きどころのない社会

 3丁目の夕日に描かれるような昭和30年代のようには多くの人が衣食住が直接的に欠乏しなくなった今、働く意義が変化してきているように思う。
 昭和30年代は総じて食べるために働くという大義名分が無条件に成立したのに比して、今はそれは当たり前で、より自己実現という得体の知れないものに向かって上昇していかねばならないという強迫的なプレッシャーを感じるようになってきている。
 そんな中で、バリバリがんばる人が出てくるのは当然だが、自己実現を目指したってある程度以上は限界が出てくる。
 議員になる、開業医になる、地主になる、社長になる、俳優になる・・・これらは一代にして成り上がるのが難しく結局は親の力が必要になるわけで、食べるだけでは満足できなくなった現代人たちは行き場を失うことになる。
 となると自己実現はもういいから落ち着きたいと思う人が出てくるのもまた当然である。
 しかして、社会は企業を中心になかなか落ち着けるような感じにはしてくれないのも古来からである。
 ある一定の競争をあおっていかねば社会全体の生産性が活性化しないからだ。
 となると、上昇志向を捨て落ち着きたいと思い始めた現代人はやはり落ち着きどころがなくなる。

 落ち着きどころを探し始めた頃には、落ち着ける場所がないのが現代か。

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