I wish I were a bird.(私が鳥だったらよいのに…)

 

最近(1998年6月)のCMの中で、英会話学校のNOVAのものをご存知でしょうか?

まあ、これはある女学生(高校生と思われる)が、「私の先生は英語の発音がとってもいいんです」「なぜなら、先生は留学生だから」といった旨のナレーションをし、その先生の留学先が駅前留学のNOVAであったという結末のCMです。

うん、CM自体はうまいつくりなんです。日本で教えている先生が、なんで留学生だっちゅーねん、という突っ込み的な心境からついつい注視してしまうCMで、駅前留学のNOVAの名前が印象に残ってしまう。その点では、非常にうまい。そういえば、NOVAは以前からCM作りはうまい。「YES,I am 農婆」と言って高らかに笑っていたおばあさんのCMが記憶にある方も多いのではないでしょうか?

さて、このCMで先生の英会話のうまさをあらわすのに使われている英語のフレーズがI wish I were a bird.です。この英文は「私が鳥だったらよいのに、でも、そうじゃない」という意味です。仮定法過去という文法事項で必ず出てくる基本例文です。高校などで英語をやった方は覚えてらっしゃる方もいるでしょうし、忘れてしまったという方も多いかもしれません。

この仮定法過去というものは、現実ではそうではない(ありえない)状況に仮になったらよいなあという願望・夢を語るための文法です。だから意味としても「〜だったらよいのに、でも、そうじゃない」というようになります。上記のフレーズひとつ取ってみても分かりますが、人間である以上、鳥にはなれないわけで、まったくの夢ですよね.

仮定法過去の基本例文としてもうひとつ有名なものがあります。If I were a bird, I would fly to you.というのがあります。意味は「もし私が鳥だったら、あなたのところに飛んでいくのに…、でも、できない」です。

私はCMを見て、どうしてもCMで使われている「I wish I were a bird.」を聞くと「If I were a bird, I would fly to you.」の方も浮かんできてしまいます。というのも、CMの中で先生が「もし私が鳥だったら…」とナレーションしていますし、なにより、その女子高生の態度が先生の話しを実に楽しそうに聞いていて(英文法、グラマーの授業なんてさして楽しいものではないはずなのにです)絶対その先生にあこがれているというか、恋しているそぶりなのです。

そもそも「If I were a bird, I would fly to you.」(もし私が鳥だったら、あなたのところに飛んでいくのに…、でも、できない)なんていうフレーズは恋のフレーズじゃないですか。遠く離れ離れの恋人たちの様子がまざまざと思い浮かぶじゃないですか。すくなくとも会社なり学校に遅刻しそうになって駅までの道を走っている人の姿は思い浮かびませんよね、飛んでいきたい気持ちは一緒にしても。

だから、そのCMの恋する女子高生を見るにつけ私は「If I were a bird, I would fly to you.」(もし私が鳥だったら、あなたのところに飛んでいくのに…、でも、できない)を思い出すんです。

英語の例文なんかは結構忘れていってしまっていますが、この例文だけは、恋愛という観点からぴしっと覚えています。

「もてたいなあ」なんて夢を胸に語っている私はそれこそ願望・夢を語るための文法、仮定法、的ですね。ただ、仮定法はまったく実現不可能な(人間が鳥になるといったような)ことを指して「〜だったらよいのに」と言うのですが、その点において私は違うのでしょう。彼女を作りたい、あながち無理なお願いではないでしょう。

このCM見るたびに、仮定法のように「でも、できない」なんておちにならないようにがんばろうと思っていますが…(でも、できない??)。

 

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