残してきたもの

 
 まあ、私は東京、札幌,、仙台といろいろ移り住んできたわけなんですがね、住む所を変えるたびに、何らかの別離があるわけですよ。やっぱり、住み慣れたところを離れるのは寂しいもんですよ。

 「ああ〜明日の今頃は、僕は汽車の中〜♪」

 チューリップの名曲「心の旅」の歌詞の一部ですがね、この歌詞にあらわれているような寂しさ、名残惜しさの感覚を持つもんですよ、多かれ少なかれ。何か残してきた感覚と言うかね、そういったたとえようもない感覚を伴い、結構切なくなるものです。そう、その残してきたものへの懐かしさの感覚がノスタルジー・郷愁につながるんでしょうね。

 残してきたもの。これは人それぞれでしょうね。その地で築いた思い出とかもその一つのなのかもしれませんね。

 ドラマ、歌、小説等でのこういった移住のシーンにおける残してきたもの、これは恋愛マターに関わるものが多いですよね。
 そもそも、チューリップの「心の旅」にしても「ああ〜明日の今頃は、僕は汽車の中〜♪」に続く歌詞は「だから今夜だけは君を抱いていたい」となるわけですしね。 愛する彼女を残して旅立つ瞬間ですよね。
 あの高倉健主演の名作映画「幸せの黄色いハンカチ」においても、メインテーマは夕張に残してきた倍賞千恵子演じる女性が刑務所帰りの主人公を迎えてくれるかどうかでしたよね。
 私の住んでいたことのある仙台を背景にしたかの名曲、さとう宗幸の「青葉城恋唄」でも、ま、この歌は題名からも恋愛マターがテーマであることはありありですし、「あの人はもういない〜♪」という歌詞も出てきますしね。残してきた思いでの女性を想起させます。
 
 私が今まで住んできた所で残してきたものは何だったのか・・・。
 そうですね、これは言わないでおきましょう。思い出は、その人の心の中でのみ息づいているものでもありますからね。

 でもね、私が懐かしそうな顔をしてね、「青葉城恋唄」の「あの人はもういない〜♪」の歌詞が繰り返し頭の中でリピートしてそうでね、遠い目をしてひたりきっている時にね、

「残してきたのは、キープしてきたボトルだろ?」

 とか言っちゃうのは夢がないからやめましょうね(^-^)。
 

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